ミロク子会社で自動車部品メーカーのミロクテクノウッド(高知県南国市、田中勝久社長)は、高知産の竹を用いた自動車用ハンドルを開発した。独特の感触があり、デザイン性に優れるのが特徴。生育過程で二酸化炭素(CO2)を大量に吸収する竹を採用し環境面への配慮もアピールする。トヨタが来春発売する次期「レクサスGS」にオプション装備される。
短冊状に加工した竹を接着剤で重ね合わせ、円形に曲げてハンドルに仕上げる
ハンドルの主要部材に竹を用いるのは世界初という。高知県工業技術センター、東海理化と共同で開発した。
弘田竹材店(高知県土佐市)と木材加工のコスモ工房(高知市)が竹の加工を担当し、ミロクテクノウッドがハンドルに仕上げる。ミロクとともにテクノウッドに出資する東海理化を通じてトヨタに納入する。
竹は高知県南国市の白木谷で3年以上生育した孟宗竹(もうそうちく)。専門の職人が伐採した良質の竹だけを使う。
ミロクテクノウッドの既存の木製ハンドルに使っている北米産のクルミやカエデは成木になるまで50~60年かかるが、竹は3年程度で十分な太さまで成長するため、調達が容易という利点がある。
外皮と内皮をそぎ落とし、芯の部分だけを厚さ4ミリの短冊状に加工する。温度や湿度の変化で竹が反り返らないように乾燥処理した後、特殊な接着剤で短冊を重ねあわせ、金型成型機に押し込んで円形に曲げる。
強度を持たせるために中をくりぬいて金属を挿入。職人の手作業で磨きあげ、つや消し塗装で竹の肌触りを生かす工夫を凝らした。高級車ブランドの「レクサス」にふさわしい上質感を出す。
1本の竹から3~4本のハンドルを製造する。竹の加工に手間はかかるが、素材は安く調達できるため製造コストはクルミやカエデ製のハンドルとほぼ同程度に抑えた。
ミロクテクノウッドは環境にやさしい素材としての竹に注目し、県工技センターと共同で2006年に竹の集成材を活用した自動車内装材の開発に着手。07~08年度には四国経済産業局の地域資源活用型研究開発事業の助成を受け、竹集成材用の成型機を独自開発し、製品開発を進めてきた。
ミロクテクノウッドはミロクの猟銃製造で培った木材加工技術を生かし、トヨタ車向け木製ハンドルを製造している。11年10月期の売上高は、東日本大震災の影響で生産が一時停止し、前期比28%減の約24億円だった。